Tateisi Science and Technology Foundation · 2026–

Information Environment Design Based on the Control of Serendipity

Could the mechanism that keeps us “accidentally” watching short videos be turned into an ally of learning? I am building information environments in which users can choose days that invite chance encounters and days that shut them out.

(English version in preparation — Japanese text below.)

気がつくと、ショート動画を30分もスクロールしていた——そんな経験はないでしょうか。SNSやショート動画のアプリは、「次に何が出てくるかわからない」という偶然の楽しさ(セレンディピティ)を報酬として、僕たちの注意を巧みにつかんで離しません。設計の世界では、こうした仕掛けはしばしばダークパターンと呼ばれ、批判の的になってきました。

でも僕は、この仕組みを断罪して終わりにするのではなく、善用できないかと考えています。「次に何と出会うかわからない」楽しさそのものは、本来、学びや発想の源でもあるはずだからです。

一方で、偶然の出会いは、締め切り前の集中を蝕む「誘惑」にもなります。つまりセレンディピティは、増やせばいいものでも減らせばいいものでもなく、そのときの自分のモードに合わせて調律すべきもの。偶然を誘うインターフェースと、偶然を遮るインターフェースを、同じ一つの設計論でつくる——それがこのプロジェクトの核です。

いま、対になる二つのシステムを開発しています。

  • PaperReel(誘発する側) — 学術論文を、30〜60秒の縦型ショート動画に自動変換するアプリ。研究の要点・背景・意義をAIが抽出し、スクロールするうちに思いがけない論文と出会えます。ただ気持ちよく眺めて終わりにならないよう、気になった動画から要約や原典へ潜っていける「学びへの入り口」を仕込んであります。
  • Focus Launcher(抑制する側) — 「いまから報告書を書く」と宣言すると、その作業に必要な機能だけで画面が再構成されるランチャー。アプリ単位ではなく「書く」「参照する」といった機能単位で環境を組み直し、意図と行為が一直線につながる“一本道”の作業環境をつくります。

前身のプロジェクト(論文をポッドキャストに変換する PaperWave など)は、すでに数百〜数千人の方に使っていただき、偶然の出会いが知的生産の意欲を高めるらしい、という手応えを得ています。

技術を、人の注意を奪い合う装置ではなく、人と一緒に考えごとをする共生者へ。偶然の豊かさと、静寂の生産性。その両方を行き来できる情報環境を目指しています。